【神神の契約】釈 

西風隆介による公式の謎本  

〈其の2〉〝前玉神社〟の前玉(サキタマ)とは?

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  前玉神社は、浅間塚古墳と呼ばれる〝円墳〟の、ほぼ頂上部に建っていて、上の地図イラストをご覧になれば分かるように、二子山古墳(さきたま古墳群で最大の前方後円墳)を中心にして、丸墓山古墳とは対称の位置(等距離)に置かれている。
 この地図イラストを、しばらくじーっとながめていると、なぜ前玉(サキタマ)と呼ばれているのか、その謎が解けてくるはずだろう。もちろん命名者は〝笠原一族〟すなわち〝忌部〟であったろうが。

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  丸墓山古墳は日本最大の円墳だが、形状は真ん丸で、まわりの濠(ほり)もまるく、ここにだけ葺石が貼られてあったので白っぽく、異彩を放っていた巨大な構造物だ。
 仮に、それを漢字一文字で表すとしたならば、つまりこうなるだろう。

 ――― 玉(タマ)。

 先の地図イラストを説明するに、前玉神社とは「巨大な玉の前に小さな玉があって、そこに建っている神社」で、これを簡略化して「前玉」神社なのだ。
 いわゆる〝オッカムの剃刀(思考節約の原理)〟的な単純明快な謎解きだが、『神神の契約』本文には書かなかったので、本邦初公開のはずだ(謎解きの独自性に関しては精査しているつもりだが、その件は私が先に謎解きしている、とご不満の方がおられれば是非ご一報を)。