【神神の契約】釈 

西風隆介による公式の謎本  

〈其の3〉〝前玉神社〟の奥義

 神様や神社のような宗教的事物は、重層的な解釈が可能であればあるほど信仰を勝ち得て後世まで存続できる、というのが筆者の持論だ。摩多羅神しかり金比羅神社しかりだが、この〝前玉神社〟も例に漏れずだろう。
 「前にある玉だから前玉」は単純で誰にでも分かるが、それだけでは薄っぺらく深みがない。別途、神官だけが知りえる奥義〝秘密の口伝書〟のようなものがあって然るべきなのだ。

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 『神神の契約』本文でも解き明かしたが、丸墓山古墳は北極星を象徴しており、古代中国で編まれた星図・星官では「帝」という漢字があてられ、それすなわち忌部の大神様「天太玉命」を意味している。
 天太玉命から純粋な名前を抽出すると、やはり「玉」となるだろう(『魏志倭人伝』の不弥国の国王のタマでもある)。
 丸墓山古墳は、その形状からも、裏に隠されている神名からも「玉」であって、その前に置かれているから前玉神社なのだ。
 また星図・星官では、前玉神社は太陽守(Taiyangshou)の位置に置かれ、「天帝の門を守備している」ことは『神神の契約』336ページで解説した通りである。これなどは、いわば〝最終奥義〟となるだろうか。