【神神の契約】釈 

西風隆介による公式の謎本  

金比羅神社の惨劇

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 このお堂は文化十三年(1816年)の改修だそうで、つまり200年以上も経っており、遠目にはそこそこ見られても拡大すると見すぼらしさが際立つ。扉の小窓は宮乃咩神社の旧社殿と同じく宝珠窓だったのでは、とも想像されるが、修理が追いつかずにああなったのだろうか。
 ところが、近年、さらなる惨劇がこの金比羅神社を襲うのだ。

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 平成29年4月30日、大國魂神社からここへと通じる頑丈な扉が、一方的に閉鎖(終日施錠)されてしまったのである。告知紙に「神社西参道の竣工に伴い」とあるのは写真の真新しい巨大鳥居のことで、こんなものに大金を投じるぐらいだったら金比羅神社を助けてやれよ(と筆者は思うのだが)、神社の考え方はむしろ真逆のようで、ええい目障りな金比羅神社め、扉を締めてやったぞ、これで参詣客は流れて行けまい、つぶれてしまえ!……

 

 本家讃岐の金刀比羅宮では〝金比羅〟は一切祀られていない。明治の神仏判然令で自ら完全に破棄したからだ。
 忌部系の大神様の神社には原則金比羅がつき従っているが、ここ以外は境内社だ。つまり単独の金比羅神社で、実際に金比羅が祀られている日本最古の神社の可能性が、この金比羅神社にはあるというのに(忌部が関係すると日本最古の話が多い)。