【神神の契約】釈 

西風隆介による公式の謎本  

忌部が創建した都筑区茅ケ崎の杉山神社

 40社ほどもある杉山神社の中で、みずから〝忌部〟創建を標榜している神社が一社ある。横浜市都筑区茅ケ崎にある杉山神社だ(湘南海岸沿いの、いわゆる〝茅ヶ崎〟とは別)。
 紅葉葵さんのブログ「たんぽぽろぐ」に詳しい探訪記事が載っている。

momijiaoi.net

  だが残念なことに、ここ茅ケ崎杉山神社の由緒は、完全に裏目に出てしまっているのだ。
 『新編武蔵風土記稿』などによると、天武天皇白鳳3年(674年)、安房神社神主の忌部勝麻呂によって、この地に高御座巣日太命(タカムスビで造化三神のひとり)、天日和志命(アメノヒワシで阿波忌部の祖神)、由布津主命(ユフツヌシで天太玉命の孫の天富命の孫)の三神を祀ったのが最初とされている。
 この由緒は(その真贋はさておき)、式内社を我がものにすべく「どうだ古いだろう」「由緒正しいだろう」と自信満々に表明したものなのだろうが、はからずも「新しい」ことを証明してしまったわけだ。
 杉山神社は『神神の契約』本文で解説したが、2種類に大別され、南武蔵に入植した直後に展開したそれと、北武蔵から出戻ってきた後に作ったそれだ。674年という創建年は、650年頃築造の熊野神社古噴よりも後年で、つまり南武蔵へ出戻った後に作られた神社だったのである。残念・・・・・。