【神神の契約】釈 

西風隆介による公式の謎本  

天目マサトからの桜便り〝丸墓山古墳〟

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「そやそや、天目(あまのめ)からめーるが届いとったぞう」
「何かしら?」
「今は桑名で、竜蔵(じい)と元気に暮らしてます、いうとうで」
「この週末だけの里帰りじゃなかったの? 書いてるわけないでしょう!」
「それに写真が添付されとった、ほな、でで~んと」

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「あら、桜の写真じゃない。丸墓山古墳の」
「枝がくね~と曲がっとって上手に描けとうやんか。浮世絵を真似たんやな」
「これは写真!」
「えーなになに……絵葉書にあれんじしたそうや。れとろでびびっとな昭和の絵葉書風に」
「そんなこと本当に書かれてるの?」
 まな美は、パソコンの画面をのぞき込みながら、
「……絵葉書サイズにトリミングしました。としか書かれてないじゃない!」
「おっ、ぺんぺん草かと思とったら天目の水印(サイン)が入っとうぞう、すみっこに」
「誰かさんとは違って、奥ゆかしいのよ」
 と、まな美は囁いている。
「ほな自分も、これを桜便りに使わしてもらおう、あの娘(こ)とあの娘とあの娘と……」
 土門くんは、長い指を折って数えている。

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                         さらにつづく