【神神の契約】釈 

西風隆介による公式の謎本  

まな美と土門くんが喋る「西暦500年日本の首都は埼玉にあった!!」

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「どや! ええ勝負しとうやろ……!?」
「か、勝ってるじゃない、ほんとうに」
「歴史部は嘘はつかへん。丸墓山古墳は一見サイズは小さいけど、まん丸な円墳なんで、土の量は二子山古墳の約1・5倍、すなわち200m級の前方後円墳に相当するんやで。しかも丸墓山古墳と二子山古墳は同時築造という、気合いの入りかたが違うぞう」
「それに比べて武烈天皇の陵墓は、自然の丘だし……」
 ふたりして、しばし笑い転げてから、

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「は、は、は、は……王朝交替期の数ある諸説に、我が歴史部が、強烈な一石を投じてやったぞう」
「埼玉へ遷都は、ひときわ異彩を放っているわよね」
「当時はまだ埼玉という地名はあらへんかったんやけど、みんなが喜ぶ思てこないした」
「さすがサービス精神旺盛よね」
 まな美は、皮肉っぽく呟いてから、
「忌部が政権奪取できたチャンスは、歴史上3回あったのね。最初は卑弥呼が没した直後の動乱で、壹與をたてて鎮まったでしょう。これは阿波のオオトノベで、すなわち忌部の女神様よね。そして2回目が、この雄略天皇の暴虐、そして3回目が大化の改新の暗黒」
「なるほど、倭の国が転覆しそうになっとったときには、忌部が裏でかまえてはったわけやなあ」
「けど忌部には、ひとつ弱点があるのよ」
「な、なんや?」
「軍隊を持っていなかったことね」
「あ、戦わへん一族やもんな」
「だから事をかまえるさいには、軍事的に強い一族と同盟をむすぶ必要があって、それが雄略天皇のときの吉備、大化の改新のときの出雲族、だったんじゃないかしらとわたしは思うのね」
「な~るほど、さすがは姫、深い読みやなあ」
「そしていよいよ、お待たせしてしまった話よ。『古事記』に書かれてあった忌部と出雲族の婚姻の話ね」
「ようやく蛇の生殺しや。ほな、『神神の契約』ばーじょん2を、どぞ!……」
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                         さらにつづく