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「お兄さんの写真に《決戦場》とネーミングされたファイルがあって、こんな写真がたくさん入っていたのよ」
「岩だらけやなあ、川に」
土門くんは、見たままのことをいう。
「場所は、伯備線の生山(しょうやま)駅の付近らしいんだけれど、古戦場なんかあったかしら?……」
「どこなんやあ?……」
と、土門くんが地図を開いた。
「生山駅のとこに〝石霞渓〟という景勝地があるんで、ここやな。ちょうど川の分岐点で、数キロに渡って奇岩怪石がごろごろ転がっとうそうや。本流が日野川で、支流が石見川いうそうや」
「じゃあさっきの地図の、右端に見えていた川の上流域よ」
「そやったら、たたら製鉄で残土を流しまくっとった川やんか。土砂だけやのうて、こんな大きな岩まで流しとったんか!」
「それはさすがにないと思うわ。付近の山肌の写真もあって、もう岩だらけなので、それが落ちてきているのよ」
「わ~こわ! 年に何個か今でも落ちてくんのんちゃう。おちおち釣りでけへんぞう」
「それにしても、何の決戦場かしらね?」
まな美は首をかしげるのだった。
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