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「スクナヒコナ伝承って、伯耆の国風土記の逸文に載っているのね」
「いつぶん? て何や?」
「出雲の国風土記は全文が残っているんだけれど、お隣の伯耆の国風土記は、逆に、ほぼ消失してしまい、でも他の書物に引用されていたような文章が何行か残っていて、そういうのを、逸した文と書いて、逸文って言うのよ」
まな美は丁寧に説明したが、
「……節分の親戚かと思たぞう」
土門くんは与太をいう。
「なかなか風情がある神社だわよね。出雲大社と伊勢神宮の遙拝所もあるし、石燈籠は凝っているし」
「因幡の白ウサギやな。それに竜は、これはヤマタノオロチか? 一匹やけど……」
「神社の裏手には、人魚伝説の洞穴(ほらあな)があるそうよ。間違って人魚の肉を食べてしまった娘が不老不死になって、ずーっと洞穴に閉じこもって暮らしていたという……」
「わわわわ! こ、この写真は、ぞんぞがさばる~」
と、土門くんは肩をすくめて出雲弁でいった(意味はここを参照のこと)。
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