【神神の契約】釈 

西風隆介による公式の謎本  

まな美と土門くんが喋る「弓ヶ浜半島」生成の秘話

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弓ヶ浜半島は、その名前のとおり、奇麗な弓状になっているけれど、古代は、2千年ぐらい前だと全然ちがっていて、この地図の、米子市の白っぽい場所は、大半が海だったのね。この地域の山間部では、古代から〝たたら製鉄〟をやっていたでしょう」
「そやそや、玉鋼(たまはがね)の生産地やな、日本刀の原材料になる。日本で最初の刀鍛冶は、たしか伯耆の国の人やぞう」
 土門くんは骨董屋らしい注釈をする。
「玉鋼の原材料は砂鉄なんだけれど、山を削って砂鉄をより分けて採るわよね、その残った土を、全部、川に流していたのね」
「そ、そないなことしたら、川どろどろやんか!」
「実際そのとおりで、農業に影響が出ない冬の間にやっていたそうよ。そして上流からどんどんどんどん日野川に土を流していくでしょう。それが積もりに積もって、現在の弓ヶ浜半島が出来てしまったそうなのね」
「いくらなんでも積もりすぎや、土流しすぎやぞう」
 土門くんはあきれていった。
「境港のあたりに夜見(よみ)の嶋という比較的大きな島があって、江島(えしま)と大根島(だいこんじま)は古代からあって、ムカデ島とタコ島と呼ばれていて、他には粟嶋みたいな小さな島が幾つかあった、というのが古代の情景なのね」
「そやったら中海は、今は汽水湖やろうけど、古代は完全に海やったんやな」
「そう」
 まな美は、こくりと頷いてから、
「だから粟嶋神社には、神様は海からやって来たという漂着伝説があるのね」

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スクナヒコナは天乃羅摩船(あめのかがみのふね)に乗ってきたと『古事記』にあるけれど、この羅摩って、ガガイモのことなのね。ところで土門くん、ガガイモって見たことある?」
「知らへん」
 土門くんは素っ気なくいう。
「見るとビックリするわよ。私も知らなかったんだけれど、写真を見て驚いちゃったわ。もうね、あれとそっくりなの……」
「な、なんのことやあ?」

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                         さらにつづく

まな美と土門くんが喋る「でぃーぷな地域」と「布多天神社」

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「姫がかっさらってきた写真をもとにして周辺地図を作ってみたぞう。そやけど、こないなとこに黄泉比良坂(よもつひらさか)があんのんかあ?」
「その謂(い)はゆる黄泉比良坂は、今、出雲の国の伊賦夜坂(いふやざか)と謂ふ。と『古事記』に書かれていて、妻のイザナミが祀られた揖夜(いや)神社というのがあって、古い式内社で、その近くに設定されているそうよ」
「幽霊好きの小泉八雲の家なんかもあったりして、でぃーぷな地域やなあ」
「ディープ? ディープぅ?」
 まな美は、疑わしい目で土門くんを睨んでから、
「それに妖怪神社って、そんな写真は含まれていなかったはずだけど?……」
「それは自分が気を利かせて付け足したんや。前に歴史部のみんなで行ったやんか。調布の布多天神社と深大寺に。あそこも妖怪だらけで調布と境港は妖怪同盟の市なんやで。そもそもゲゲゲの鬼太郎はやな、布多天神社の裏手の森に住んどってなんやから。ほな、そのときの写真をどっと公開しよう・・・・・」

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「実は布多天神社って、この一連の話と関係がなくはないのよ。ここの主祭神スクナヒコナだったでしょう」
「おっ、さすが先見の明や」
 土門くんは自画自賛してから、
「そやけど粟嶋神社の粟嶋は、全然島ちゃうやんか!」
「それにはね、長~い歴史の積み重ねがあったの……」

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                         さらにつづく

まな美と土門くんが喋る「粟嶋神社」と「八百比丘尼」伝説

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スクナヒコナ伝承って、伯耆の国風土記の逸文に載っているのね」
「いつぶん? て何や?」
「出雲の国風土記は全文が残っているんだけれど、お隣の伯耆の国風土記は、逆に、ほぼ消失してしまい、でも他の書物に引用されていたような文章が何行か残っていて、そういうのを、逸した文と書いて、逸文って言うのよ」
 まな美は丁寧に説明したが、
「……節分の親戚かと思たぞう」
 土門くんは与太をいう。

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「なかなか風情がある神社だわよね。出雲大社伊勢神宮の遙拝所もあるし、石燈籠は凝っているし」
因幡の白ウサギやな。それに竜は、これはヤマタノオロチか? 一匹やけど……」
「神社の裏手には、人魚伝説の洞穴(ほらあな)があるそうよ。間違って人魚の肉を食べてしまった娘が不老不死になって、ずーっと洞穴に閉じこもって暮らしていたという……」

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「わわわわ! こ、この写真は、ぞんぞがさばる~」
 と、土門くんは肩をすくめて出雲弁でいった(意味はここを参照のこと)。

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                         さらにつづく

 

まな美と土門くんが喋る「スクナヒコナ伝承」の元祖

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「お兄さんちに遊びに行ったさい、すきを見て、写真を沢山かっさらって来たわ」
 小悪魔顔で、まな美がいった。
「どれどれ、どないなやつやあ?」
「まずはこれ! 元祖、スクナヒコナ伝承の神社ね」
「ああ、あの一寸法師の神様か。どっからか流れてきた思たら、ぴょ~んと葉っぱの茎にはじかれて常世の国へ帰ってしもたやつ」
 うろ覚えらしく、土門くんは極端にはしょっていう。
「その話の大元の神社が、実在するのね」

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                         つづく

ムー12月号《シャルル・ボネ症候群》

 11月9日ごろ発売の月刊ムー12月号に、『シャルル・ボネ症候群』の記事を書かせていただきました。
 目が悪いと他人の記憶が見える、といった例のあれですね。
 記事では掲載できなかった写真があったので、こちらで紹介しておきます。
 以下は『シャルル・ボネ症候群』論文の全文の原文です(シャルル・ボネ著『魂の諸能力に関する分析試論』1760年の原本(復刻版)より)。

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神王山北辰妙見尊妙見寺〝蛇より祭〟8月7日

 妙見寺(および妙見宮)は稲城市百村にあって最寄り駅は京王相模原線稲城駅だ。標高100メートルほどの小山にあるので、電車の窓からもそれとなく見えるが、当てずっぽで歩いて行くと道に迷うだろう。

 創建は760年と古く、開山の道忠(どうちゅう)禅師は、埼玉群笠原郷の人である。すなわち、さきたま古墳群の築造者の末裔だ。また、古代多摩川にあった大麻止乃「津」から南東に約2・5キロの場所に位置し、さきたま古墳群・大國魂神社・北斗信仰の繋がりを証明する稀少なミッシングリンクでもある。

 蛇より祭は、独特の祭祀だ。毎年8月7日に行われ、北斗七星になぞらえた村民7人が茅場(かやば)から茅を刈り出し、編み込んで長さ100メートルを超える大蛇を作る(頭に角を2本つけるので実際は竜)。これを妙見宮の約300段の石段にそって這わせ、頂上にある社殿をぐるりと取り囲むように尻尾でとぐろを巻かせてから、山下に置かれた蛇の頭部に僧侶が読経して〝魂入れ〟を行うのだ。

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Shigeo Shmakura氏のYouTubeチャンネルにその様子が公開されている。

www.youtube.com

神社で柏手(かしわで)を打つな!

 小説『神の系譜』シリーズ中では、数え切れないほどの神社を訪れているが、登場人物の誰一人として「二礼二拍手一礼」などの作法はやったことがないのだ。
 天目マサトは自身が神なので他所の神様を拝むこと自体おかしいし、まな美は「二礼二拍手一礼」は伊勢神道系で明治以降に強要されたものだと知っているのでやらないし、土門くんは何かにつけて迎合する性格だから他の二人にあわせてやらないし、火鳥竜介は敬虔なる無神論者だからやるはずがないのであった。
 そして最近、こんな本を見つけたのだ。

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『神社で柏手を打つな!』日本のしきたりのウソ・ホント 島田裕巳著 2019年

 この本をぺらぺら~と読みすすめて真っ先に思ったことは、まあ何と文章が上手でクセがなく読みやすいことか(わたしのそれとは真反対でえらい違いだ)。Wikipediaで氏の項目を見てみると、2011年から2020年の十年間で約90冊もの本を書かれていて、文章は書けば書くほど上手くなるという法則があるにはあるが、驚愕の冊数だ。

 内容は、表題以外にも、「神社の参道は、中央は神の通るところなので、参拝者ははしっこを歩け」という怪しげなしきたりが、さももっともらしく吹聴されていると警笛を鳴らされている。こちらも至極当然で、こんなことを言い出したのは、どこのどいつだ! そもそも参道は人が参拝するさいに歩く道で、神様がのしのしと歩いてくるわけではないのだ。ぴゅーと空を飛んでくるのに決まってるじゃないか。降臨って言葉があるように。

 ところで、わたしは島田裕巳さんとは過去(大昔)に一度、対談させていただいたことがあるのだ。何の雑誌だったか思い出せない(書棚の奥に埋もれていて探し出せない)が、もちろんオウム事件以前の話である。
 当時、島田さんは大学の高名な助教授で、わたしは単なる超能力おたくだ。ブッキングした編集者の勇気は買うが、わたしとしては冷や汗もので、話もまったく弾まなかったことを覚えている。
 あれから約三十年たった。島田さんの専門である宗教学に関しては、わたしも少しばかりは知識が増えたことだろう。今、再度対談をさせていただければ、有意義な話が語りあえるのではないかと思うのだった。……

 

ユリ・ゲラーの真相

 真相、といえるほどご大層なものではない。感想、に近いだろうか。
 ゲラー氏とは過去何度か会っており、30数年前だが正式にインタビューしたこともあって、GORO(小学館)1989年10月12日号に記事が掲載されている。

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 記事のタイトルにあるように「Mr.マリックは手品師、ユリ・ゲラーは本物の超能力者」といった主旨の記事なので、そのてんはご了承を願いたい。そして滞在先のホテルを訪ねると写真のようなラフな格好でのお出迎えだ。

 彼の人となりを一言であらわすならば、「注意力散漫」系だろうか(もしくは、わざとにそのように振舞っているのかもしれないが)。

 椅子に腰をおろしてじっくり話を聞こう、そういったタイプではなく、ペダルをこいだり何やかやと部屋の中を始終せわしなく動き回っているのだ。話もあちこちにバンバン飛びまくるし(実は、このような彼の挙動不審ぶりが彼のトリックの伏線となっているわけだが・・・・・)。

 ユリ・ゲラーといえばスプーン曲げだ。これをやってもらわないわけにはいかない。だが我々もそれなりに知恵は絞っていて「超硬いヘンケルのスプーン」を持参していってのお願いだ。そして結果は記事の通りである。

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 目の前で硬いスプーンがみるみる曲がっていって一同驚愕 !! といったふうに記事は書かれている。実際、現場ではそのように見えた。だが現実は違うのだ。それは写真を注意深く見ていただければ分かるだろう。
 時系列的には ① → ② → ③ だが、①の時点ですでにスプーンは曲がっていて、①から③の間には変化は無いのだ。
 取材陣は総勢4人である。私、ライターさん、GOROの編集者兼通訳、そしてカメラマン。
 ユリ・ゲラーは私達3人に向けて演技をしており、カメラマンはやや別角度から撮影していたためタネが写ってしまっているのだ。
 曲がっているスプーンは③のように真横から見れば「曲がっている」と分かる。だが縦から見せられると判断しづらく、そしてスプーンの柄の尻尾が少しづつ持ち上がっていく、すると曲がっていくように見える、といったような演技をユリ・ゲラーはやってくれていたわけだ。

 じゃあ彼は、この超硬いヘンケルのスプーンをいつどこで曲げたのだろうか?

 それに関しては実は後日談があって、GOROのこの号が発売された後の話であるが。
 当時GOROで超能力関連の連載をやっていた私だが、私本人は記事は書いておらず、写真の選定などにも関与せず、現場でコメントを言うだけのご気楽な立場だったのだ(文筆家としては素人とみなされていたため文章はプロに一任、というのが真相だが)。だから雑誌が発売されて初めて、どんな内容になっているのかが分かるのだ。そして後日、このGOROの記事を肴にしながら関係者と酒を飲んでいたと想像していただこう。

 

「あれ? ①の写真を見ると、スプーンはすでに曲がってるじゃないか」と私。
「う~んそうも見えるけど、我々の目の前で、確かにスプーンは曲がっていった!」
「そう見えたことは見えたんだけどなあ」と私は自信喪失ぎみになっていう。「ところでさ、彼は、このスプーンを持ったまま奥の部屋にいったん入って行ったんだけど、覚えてる?」
「ええ? そんなことしたっけ?」
「絶対に入って行ったはず。そして大量に写真を持ち帰ってきて、テーブルの上に次々と広げはじめたじゃないか、トランプみたいに」
「ヨーロッパの写真だろ、観光名所をあちこち訪ねて誰それに会った、とかいう」
「そう。その写真のトランプをしばらく続けていると、突然思い出したかのように、ルックルックルック~と言い出して、やおらスプーン曲げを始めたわけさ」
「ええ? そんな段取りだったっけえ?」
 と、他のふたりは覚えてないと言い張るのであった(カメラマンには確認していない)。

 

 じゃあユリ・ゲラーは完全なペテン師なのかというと、一概にそうとも言い切れないので話はややこしい。数年前の記事だが、こんなのがある。

u-note.me

 同様の記事はライブドアニュースにも出ているが、これはCIAの極秘情報というわけではなく、超心理学の専門書をひもとけば過去に公開されている話なのだ。それに当時のスタンフォードの実験は、複数の超能力者でやっていて、野球でたとえると、ユリ・ゲラーは補欠クラスで、超人的なエースピッチャーが君臨しており、実験はそちらをメインにやっていたわけだ(インゴ・スワン)。ユリ・ゲラーは短期間でDFA戦力外通告)となっている。

 まあ結論としていうと、物理系の超能力者としてはペテン師。
 情報系の超能力者としては、B級、といったあたりが真相ではないだろうか。

NHKダークサイドミステリー「〝ヒトラーの予言者〟謎の霊能力者ハヌッセンの野望」とユリ・ゲラー

 数日前のことだが、正確には2021年7月15日(木曜日)放送のテレビ番組を観ていて、「あれ、これどこかで見た(読んだ)ぞ」と軽いデジャブに襲われた。
 心当たりを探してみると、ムーの今年の4月号に、こんなタイトルがあった。

 

 ヒトラーを操った知られざるナチスの超能力者エリック・ヤン・ハヌッセン 文=山口直樹

 

 これがつまりデジャブの正体だ。
 だがテレビ番組の中身は薄っぺらく、Wikipediaにもエリック・ヤン・ハヌッセンの解説があるのだが、それに毛の生えた程度であった。ムーの記事の方が数十倍濃密である。そして2ちゃんねる風に揶揄するとこうなる。

 

【急募】番組制作者【NHK
 Wikipediaを動画にするだけの簡単なお仕事です。

 

 さて、ここからが本題だが、さらに驚くべき事に、番組の冒頭、いきなりユリ・ゲラー(74歳)が登場してきて「新型コロナに苦しむ世界に向け、新たなパフォーマンス」とやらで、ワクチン注射をされながらスプーン曲げを演じて見せるではないか!

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 厳密にはスプーン曲げではなくスプーン切断だが、ネタの詳細はいまさら説明するまでもないだろう。「超能力のスーパースター今も健在。そして90年前――」とナレーションが入って、やおら本編が始まるのである。

 エリック・ヤン・ハヌッセンは奇術師(透視術や交霊会などを演じるインチキ霊能力者)として冨と名声を得て、ナチスにせっせと媚を売るが、あっさり殺されてしまうのだ。何を隠そう、彼はユダヤ人だったのである。

 ユリ・ゲラーは、正真正銘、テルアビル(イスラエル)生まれのユダヤ人である。

 ユダヤ人のエセ超能力者つながり、といった理屈で番組の冒頭に抜擢されたのだろうか。
 ナチスに殺されたユダヤ人のエセ超能力者を扱った番組にユリ・ゲラーの映像が使われていることを、ユリ・ゲラー本人はご存じなのだろうか? いずれにせよ、これは冷静に考えると目茶苦茶な番組構成で、ナチスに惨殺されるユダヤ人、エセ超能力者、二重三重にユリ・ゲラーの名誉を毀損していることになる。

 とくに「ナチスに惨殺されたユダヤ人」のエピソードに現在活動している特定のユダヤ人(ユリ・ゲラー)をなぞらえるというのは、放送倫理に明らかに抵触するだろう。国際紛争すら起こりえ、NHKの能天気ぶりには呆れるばかりだ。

 このユリ・ゲラーのパフォーマンスそのものは今年の正月にTBSニュース日テレNEWS24などで放映されたそれで、それをNHKがパクってきて番組の冒頭にくっつけているのだ(もちろん出演料等は支払われているはずだが)。

 なお、このとち狂った番組は7月20日(火)午後11:45に再放送されるそうで、とくとご覧あれ。

 

まな美と土門くんが喋る「偽(にせ)鷲神社」の総本山

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藤原秀郷(ひでさと)は、一般的には、あの〝平将門の乱〟を鎮めた武将として知られているわよね」
「それは天慶3年、940年の話やあ」
「秀郷は、生まれは京だったらしいんだけれど、比較的若くして下野国にやって来て役所づとめをしていたのね。とはいっても、秀郷の父親の藤原村雄(むらお)は、下野の国司で、祖父の藤原豊沢(とよさわ)は下野の押領使(おうりょうし)でと、代々下野に地盤があって、そこを継いだ豪族の首領(ボス)って感じよね」
「どこぞの国会議員とおんなじやあ」
 と土門くんは、小声で揶揄する。
「そして930年代の後半あたりに、押領使に任命されたのよね」
「警察署長みたいなもんやろ。そやけど、秀郷は勝手に戦こうて勝手に勝ってしもたんで、押領使という官職は後付けやいう説もあるぞう」
「彼はなぜ勝てたのかしら? 国府軍をつぎつぎに打ち破って東国八カ国を手中におさめ『新皇』を自称するほどに強かった平将門に?」
「それはやな……時の運や」
 面倒臭そうに土門くんは答える。一説には、不運にも流れ矢が将門の額をつらぬいて絶命したそうである。
「ともかくも、この功績で秀郷は大出世をとげて下野守に、つまり下野の国司になったのね。のみならず武蔵の国司も兼任して、さらには鎮守府将軍にまで叙せられるのよ。こちらは名誉職だけれど」
「将門にとってかわっただけやんか」
「朝廷には刃向かわない従順な将門ね。そしてふつう国司って、任期を終えると京に帰るんだけれど、秀郷は帰らずに下野に居ついてしまったのね。現在の佐野市あたりに城を構えて、地図でいくと⑦の近辺で、その秀郷の子孫たちが、いわゆる坂東武者の一大ファミリーを構築するわけよ・・・・」

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「・・・・自称・藤原秀郷の子孫というのもいたはずだけれど、すごい勢力でしょう。そんな秀衡が、みずから創建した神社がたくさんあって、その中で興味深いのを上に示したわ」
「⑬番の鷲神社、祭神は大己貴命(おおなむちのみこと)になっとうけど、これは要するに大国主命やろ?」
「そうよ」
「そやったらこの鷲神社は、どないな伝承になっとんや?」
「そんなこと、わたしが知るはずないじゃない。秀衡が勝手に作っているんだから」
「そ、そんな無責任な……」
 ふたりして、しばし揉めてから、
この地図で分かるように、忌部の神々に囲まれていて藤原としては窒息するでしょう。だからといって、いかに国司といえども、忌部の神社を破却したり、祭神を変更したりはできないのね」
「神社には氏子がついとうから、戦争になるな」
 まな美はうなずいてから、
「けれども、神社を新しく作るんだったら支障はなく、とくに国司みたいな権力者だったら自由自在に作れたのよ。要するにこの鷲神社は、鷲宮や鷲子など、たくさんある〝鷲〟系神社の祭神を、あやふやにするために創建されているのよ」
「あやふやに?……」
「実際、鷲神社というのは関東一円にたくさんあって、たぶん百社ぐらいはあって、その大半が祭神は出雲族の神を置いてるのね。つまり秀衡の子孫たちが、坂東武者たちが、この鷲神社をあちこちに勧請しまくっているわけよ。そして結果、本来の鷲系神社の祭神、天日鷲命が駆逐されていってしまうのね」
「そやったら何かあ、この⑬番の鷲神社は、いうならば偽(にせ)鷲神社の総本山なんか?」
「まさにそう! わたしが調べたかぎりでは、鷲神社で、祭神が出雲系の神の最古の神社が、これよ!」
「ふむふむふむ……姫はつぎからつぎへと変なもんを発見するなあ」
 土門くんは、なかばあきれていった。

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                         さらにつづく

まな美と土門くんが喋る〝天日鷲命〟の真相

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「実はね、わたしも地図を作ったのよ。土門くんほどには凝ってないけれど」
「どんな地図やあ?」
「忌部って、どこにどんな神様を配するのか、役割をきちんと決めていたでしょう。そういった観点から、天日鷲命が祀られている神社、その個々の立地を調べてみたのよ。するともう一目瞭然なのね。どういった場所に天日鷲命は祀られていたのか、が」
「どれどれ……?」

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「……なるほど! 古代の津や! 舟着き場やなあ」
「山の頂上にあった鷲子山上神社を除いてはね。それに浅草の鷲(おおとり)神社、古代の湊で、あそこも祭神は天日鷲命だったでしょう」
「や~姫の地図は簡単でええなあ、5分で作れるぞう」
 土門くんは、ぼやいている。
「この発見を踏まえて、話を元に戻すわね・・・・・」 

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                         さらにつづく

まな美と土門くんが喋る「忌部の神々に窒息する藤原氏の国司」

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 「中臣鎌足は藤原姓をたまわって、子供の藤原不比等は、幸運にも壬申の乱のときには13歳だったので処刑を免れ、不比等の4人の子が南家・北家・式家・京家に分かれて増殖していき京の貴族社会を席巻していったわけよね。とくに藤原北家による他氏排斥は、事件として歴史に刻まれているぐらいで、その最初とされるのが承和(じょうわ)の変で、承和9年ね」
「842年やあ」
 と、土門くんが即答した。老舗骨董店の坊(ぼん)なので和暦⇔西暦の変換は幼少期から仕込まれている。
「次は応天門の変だけれど、大伴氏が完全に没落させられるのよね。これは貞観8年」
「866年やあ」
「次が阿衡(あこう)の紛議で、仁和4年ね」
「888年で覚えやすいぞう。ちなみに777年は宝亀8年やけど、これといって何もあらへん」
「次は昌泰(しょうたい)の変で、ご存じ、右大臣の菅原道真左大臣藤原時平の讒言によって太宰府に左遷されたのは、昌泰4年」
「それは901年や。そして延長(えんちょう)8年、930年には、清涼殿に雷が落っこちて藤原の貴族らが大勢亡くなりはって、その後も延々と道真の怨霊に祟られるんやあ」
 土門くんは、ことのほか嬉しそうにいう。
「そして最後が安和(あんな)の変で、左大臣源高明太宰府に左遷させられたのよね。これで藤原北家による他氏排斥が完了し、以降は摂政・関白が常置となって彼らが専横することになるのね」
「それは安和2年で、969年やあ」
「そんな最中(さなか)、他氏排斥がほぼ完了しかかっていた900年代の前半のころお話よ。仮にの話だけれど、この下野国に、国司として藤原の某(なにがし)の貴族が赴任してきたとするわよね。どんな感じがしたと思う?」
 と、パソコンに表示されている地図をさし示して、まな美はいった。
「それはもう……窒息するぞう !!!
「絶対に、窒息するわよね !! 周囲をぐるりと忌部の神々にとり囲まれていて、国衙の門には忌部の女神様が、南には忌部の大神様が鎮座されていたし」
「閉塞感たっぷりの地図を作ってくれという姫の要望通りに作ってみたんやけど、どうや?」
「よく出来ているわ……」
 まな美は、拍手して大喜びしながら、
藤原氏氏神が祀られた春日神社もあるにはあったんだけれど、古いそれは地図の外で、もう無いに等しいのね」
「さしもの藤原氏も、ここでは孤立無援やぞう」
「そして実際に、930年代、ここに国司として赴任してきた藤原北家の貴族がいたのね。それは誰あろう……藤原秀郷(ひでさと)よ」
「お! すごい有名人やんか! 別名を俵藤太(たわらのとうた)ゆうて、三上山(みかみやま)の大百足を退治をしはった勇猛果敢な武将や」
「それは伝説のお伽話で、実話の方ね・・・・・」

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                         さらにつづく