【神神の契約】釈 

西風隆介による公式の謎本  

石霞渓とヤマタノオロチ

 これはムー4月号に掲載された写真だが、伯備線の「生山駅」の近くで撮影したものだ。いかにもオロチの鎌首が、3つほど、だら~とのびているように見えるのだが、いかがだろうか?
 あたりは「石霞渓」と呼ばれる景勝地で、名前が付いている大岩も多数あって、獅子岩、仙人岩、畳岩、桃岩、天狗岩などだが、どの岩がどの名称なのかは、現地の案内人にでも教えてもらはないと、不明だ(ネットを探しても見当たらない)。だから上の写真の岩も、名前が付いているのかどうかは不明なのだ。
 数日前から雨がけっこう多かったので水かさが増していて、偶然こう見えたのかもしれない。通常は、こうは見えないのかもしれない。もろもろ不明なのである。
 取材旅行で「生山駅」を訪れた理由は、日野川の大きな分岐点がここにあったからだ。別の川から八岐大蛇がのしのしやって来て、その川の分岐点(合流点)で決闘する、というのは、いかにもありそうなシチュエーションではないか。
 だが「八雲立つ」写真と同様で、こういった八岐大蛇の岩の写真が撮れようとは、事前にはゆめゆめ思っていないのだ。水かさのなせるワザなのかもしれない(これも八束水臣津野命の差し金だろうか)。

    

  

  

 写真は遠くから撮り始めていて、時系列的に並べてみた。全体のフォルムもさることながら、とくに眼のあたりや鼻先の牙などが、極めてリアルだ! それとも、私の審美眼がゆがんでるのだろうか? 先入観で。

 八岐大蛇は、須佐之男命が準備した酒樽に首を突っ込んでガブ呑みして泥酔したところを討ち取られてしまうのだ。そんな伝承が生じたのは、この岩が原因ではないのか ⁉ とすら思えてしまうのだった。