【神神の契約】釈 

西風隆介による公式の謎本  

西角井正慶の神社分布図をもとに

 『神神の契約』304ページ「謎の久伊豆神社」に付けようとしたが割愛したイラストを紹介しておこう。西角井正慶が作成した有名な〝神社分布図〟をもとに、忌部関連の神社などを加筆したものだ。氏の古典的名著『古代祭祀と文学』中央公論社から写真撮影したので歪みはご容赦願い、これは1966年の著作で、よくぞここまで丹念にプロットしたものだと頭が下がる。おびただしい数の氷川神社香取神社に挟まれて、細長く〝久伊豆神社〟の群が姿をあらしているのが見てとれるだろうか。ちなみに、多摩川より南側には、多数の(50ぐらいの)杉山神社が点在する。

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 忌部は町作りをするさい、南北に貫く基準線を2つもうける。
 1つは男神・女神の神殿(三嶋大明神と神神の契約をかわして以降は、北に女神・南に男神を置く)。
 もう1つは北斗・南斗で、北斗はお墓で禁足地のネクロポリス、南斗は飲めや唄えのどんちゃん騒ぎの場所だ。

 南武蔵の入植に際しては、契約の神殿の女神・男神多摩川をはさんで両岸に建て、北斗・南斗の宝莱山古墳岸谷杉山神社は約11キロと、比較的コンパクトな設計だ。
 だが一転、北武蔵への入植では、契約の神殿の玉敷神社(正しくは宮目神社)・川島杉山神社は約71キロ、北斗・南斗のさきたま古墳群大國魂神社は約51キロと、べらぼうに遠距離に建てている。武蔵国の全域は俺たち(忌部)のものだあ、と宣言したわけだろうが、上のイラストを見れば分かるように、氷川神社群が間にはさまっていて、事はそうそう簡単ではない。